★  今年初めての例会「アンデルセン2の会」は参加者が15名と少なめでしたが、
デンマークの国を知る上で、とても大切な「デンマークにおける民主主義とは」という
お話を聞くことが出来ました。

2月3日(木)於:赤煉瓦文化会館
講師:教育文化研究所 長阿彌幹生さん。

長阿彌さんは「なかよしな人間関係」の社会つくりを研究していく中で、「デンマーク
の民主主義」に行きついたそうです。
私達にとって「民主主義」といえば「多数決」を連想し、とかく政治的な言葉として
捉えがちですがデンマークにとっての民主主義は「暮らしの基本・生活レベルでの
人間尊重主義」という「国家の理念」として確立されているのだそうです。
この「他者を尊重する」意味での「人間尊重」を支えているのが「子どもは神さまから
の贈り物」という根っこの部分だと理解しました。

一時期、「人は何故人を殺してはいけないのか」と言った問いが世に溢れたことが
ありましたが、その答えがここにあるように思います。私たちはみんな神さまからの
プレゼント。それも実に個性的なユニークな存在としてここにいるなら、だれもその
プレゼントを勝手に犯す権利はないはず。
失敗した陶器を壊すことが出来るのは作った陶器師だけ。

2006年英国スタンレー大学の国際調査において「幸福度世界一」となった「デンマ
ークの民主主義」の奥深さを知ることが出来ました。

では、どうやって、政治をはじめ、社会生活の上での物事を決めていくのでしょう。それは
やはり多数決なのだそう。但し、この多数決の前には徹底的にお互いが話し合うという
ことが前提だそうです。色々な意見を様々な角度から十分出して話し合い、最終的に多
数決で物事が決まった暁にはそれまで反対意見であった人も納得して、決定されたこと
に積極的に関わっていくことが原則なのだそう。
これは個人個人が相当大人にならなければ出来ないことかもしれませんね。

この話し合いの教育は既に小学校から始まっていています。机は日本のようなスクール
形式ではなくグループ式で子供達は教師の働きかけで課題について話し合い、時には
子供同士で教え合うまでになるそうです。その分、教師の授業のスキルは相当高いレベル
を求められ、社会的信頼度も日本よりはかなり高いようです。

教師は学校単位で保護者が関わって採用され、転勤はありません。また、担任も長く
務めるため子供一人ひとりをよく理解することが可能です。教師と心の通い合う学校
生活を送ることが出来る為成人してからも教師のもとに相談に訪れる元生徒も多いの
だとか。
デンマークの離婚率は40%と、この部分では決してこどもにとって良い環境ではありません
が、図らずもそんな欠けた部分を補うことになっている学校のあり方もデンマークのユニーク
なシステムのひとつだと思います。

更に詳しくデンマークの民主主義についてお知りになりたい方は下のHP
から「デンマーク研究会」に参加することが出来ます。
 教育文化研究所
https://www.kyoikubunka.com/

 報告・感想:山田千里子