理事長エッセイ

幸福社会の可能性=楽観主義に基づく民主主義。

私たち一般社団法人福岡デンマーク協会のホームページにアクセスして頂きありがとうございます。
私は当法人の理事長の長阿彌幹生(ちょうあみみきお)です。
日常の暮らしや活動の中でデンマーク的視点からみた自分なりの気づきや感想などをご紹介し、皆様の暮らしや仕事に何かの参考にして頂ければと思っています。デンマークとは関係の無いようなエッセイもあるやもしれませんが、それも幸福という普遍的なテーマとして繋がっているものですので、拙文ですがお付き合いください。感想等頂ければ幸いです。また、私どものイベント等でもこのエッセイを種にして、お話しが出来ることを楽しみにしています。


 

理事長エッセイ(2)

幸福社会の可能性=楽観主義に基づく民主主義。


国連が毎年行っている幸福度調査(註1)で155ケ国中、2017年3月の発表ではデンマークは2位だった。昨年度は1位で、常に高い幸福度を保っている。
この調査はその国の人たちへの主観的なアンケートと客観的なデータ(健康や生活、政治等)を加味して決定されている。

デンマークの高い幸福度の背景には何があるのだろうかと、幸福度を高くするためのヒントが得られないだろうかと、デンマークを訪れて、デンマークの人たちの考え方、生き方に触れるようにしている。10年間毎年訪問して気付いたことがある。


一つにはデンマーク人は楽観的だということだ。
どうしてそれが可能なのだろうか。日本では無計画、刹那的、夢想的など、現実的ではない態度としてとらえられる傾向があるが、この国では楽観主義は積極的な考え方としてとらえられている。
このことの背景には、学校の役割が「困難な未来を切り拓くための楽観的展望を与えること」と明文化され、全ての子どもたちの教育の基本に据えられていることが考えられる。子どもたちに「君なら大丈夫」「あなたならきっと出来る」というメッセージがあらゆる場面で送られ続けているのだ。

例えば、デンマークの学校では「否定」の無い授業が行われている。
どのように考えるかを問う授業。例えば、「1+1=2」が正解だと記憶することよりも、「1+1」を自分はどう考えるかを問うている。答えは「2」でも「3」でも「5」でも尊重され、否定をされずに「本当はどうか?」という検証過程を繰り返しながら「考える力」を培っていく。その結果、子どもたちは失敗を恐れずに未来への見通しを立てる力を身に付け、自尊感情も高まっていく。

さらにデンマークの幸福度を支えているものに高い民主主義度がある。
日本では民主主義は政治用語として用いられているが、デンマークではそれのみではなく、生活形式として根付いている。個人の暮らしの中でも徹底した話し合いが行われている。互いの意見を尊重し、「みんなが良くなるために」という前提での話し合いが家庭でも地域でも頻繁に行われている。民主主義とは日常の暮らしの中で、丁寧に話し合い、気持ちを合わせて協力することではないだろうか。

そしてもう一つ思えるのは、「何をしたか」ということよりも「何をしているか」の方を大切にしているということだ。
結果よりも過程を大事にしている。目標に向けて取り組むことに意味を持つ。デンマークの高い幸福度は結果ではなく、そのプロセスを重視することからも生まれてくるのではないだろうか。権威主義や学歴主義のような過去にしがみ付く社会とは無縁な未来を志向する社会なのだ。

デンマークは「幸福社会」の可能性を楽観主義に基づく民主主義という形で人々の生き方の中に示してくれているように思う。

 

 

【註1】世界幸福度報告:国連が毎年発行する幸福度調査のレポートである。この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える主観的調査に、(1)人口あたりGDP(対数)、(2)社会的支援、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度、(5)寛容さ、(6)腐敗の認識(政府不信)の6つの客観的な説明変数を用いて回帰分析して発表されている。2017年度は1位ノルウエー(2016年は4位)、2位デンマーク(※2016年は1位)、日本は155ケ国中51位。アジアでトップはタイの31位、次いで台湾の32位となっている。北欧のスウエーデン、フィンランドも毎回トップ10に入っており、北欧は幸福度の高い地域となっている。

 

2018-06-07 | Posted in 理事長エッセイNo Comments » 

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