私たち一般社団法人福岡デンマーク協会のホームページにアクセスして頂きありがとうございます。
私は当法人の理事長の長阿彌幹生(ちょうあみみきお)です。
日常の暮らしや活動の中でデンマーク的視点からみた自分なりの気づきや感想などをご紹介し、皆様の暮らしや仕事に何かの参考にして頂ければと思っています。デンマークとは関係の無いようなエッセイもあるやもしれませんが、それも幸福という普遍的なテーマとして繋がっているものですので、拙文ですがお付き合いください。感想等頂ければ幸いです。また、私どものイベント等でもこのエッセイを種にして、お話しが出来ることを楽しみにしています。
福岡デンマーク協会 理事長 長阿彌幹生
理事長エッセイ(10)
GDPでは幸せの価値を測れない
4月から私が主宰しているデンマーク研究会(註)では、デンマークの幸福研究所の所長マイク・ヴァイキング氏の「デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義という本を使って、デンマークの高い幸福度だけではなく、「幸せ」とはどういうことなのかを考え始めました。
「幸せ」については昔から多くの哲学者や宗教者などが考えてきましたが、この本は「幸せ」を色々な角度から考え、私たちの暮らしの幸福度を高めるための示唆を与えてくれます。今回の理事長エッセイでは、その本の中に引用されているロバート・ケネディ氏(ジョン・F・ケネディ米アメリカ大統領の弟で兄が暗殺された後の大統領候補として、その選挙戦の最中に暗殺された元米司法長官)の言葉を紹介したいと思います。皆さんはどう思われますか?
半世紀も前の彼の言葉が今の世界に改めて、大きな問いを投げかけているように思えてなりません。
50年前のメッセージ
ロバート・ケネディ(1925.11.20-1968.6.6:ジョン・Fケネディ米大統領の弟で上院議員、大統領選挙の最中に1968年6月に暗殺される)は、1968年3月カンザス大学の演説で次のように述べました。
私たちはもうずっと前から、個人の優秀さや共同体の価値を、単なるモノの量で測るようになってしまった。この国のGDPは、8000億ドルを越えた。
しかし、もしGDPでアメリカ合衆国の価値を測るのなら、GDPには、大気汚染や、たばこの広告や、交通事故で出動する救急車も含まれている。
GDPには、ナパーム弾や核弾頭、街でおきた暴動を鎮圧するための、武装した警察の車両も含まれている。
GDPには、玄関の特殊な鍵、囚人をかこう牢屋、森林の破壊、都市の無秩序な拡大による大自然の喪失も含まれている。GDPには、ライフルやナイフ、子どもにおもちゃを売るために暴力を美化するテレビ番組も含まれている。
一方、GDPには、子どもたちの健康や教育の質、遊ぶ喜びは入っていない。
GDPには、詩の美しさや夫婦の絆の強さ、公の議論の知性や、公務員の高潔さは入っていない。GDPには、私たちの機転や勇気も、知恵や学びも、思いやりや国への献身も、入っていない。
つまり、GDPは、私たちの人生を意味あるものにしてくれるものを、何も測ることはできないのだ。
GDPは、私たちがアメリカ人であることを誇りに思えることについて、いっさい教えてくれないのだ。もしそれが、この国において真実であるなら、世界中のどの国でもやはり真実だろう。
デンマーク研究会:毎月第2水曜日18:30-20:30 参加費:500円
開催場所:教育文化研究所事務所(福岡市博多区奈良屋町2-16)
Kids at ease
Time out with your friends is well spent nestling on a warm doorstep.
Photo: Bent Nセsby